Your Song

It's a little bit funny this feeling inside
I'm not one of those who can easily hide
I don't have much money but boy if I did
I'd buy a big house where we both could live

当時も今も、たぶん同じくらい好きだろうという、少し珍しい曲。

エルトン・ジョンの優しい歌声が心を癒してくれる―などと言うと、なんだかいつも心の傷が疼いている人間のように思われてしまいそうだが―ような気がする。

時代を超えて愛されるなにかを持った一曲。

 

Don't Know Why

I waited 'til I saw the sun
I don't know why I didn't come
I left you by the house of fun
I don't know why I didn't come
I don't know why I didn't come

こう見えて僕は、結構欧米趣味のところがあって、中高時代にはかなり積極的に洋楽を聴いていた。

それは別に洋楽が邦楽に比べて特に優れていると感じていたからということではなく、純粋に外国に関心があったからだった。

それがいつの間にか海外への関心が極小化してしまい、また再び海外に目を向けようとしているというのは何だか不思議な気もする。

この曲は特に当時思い入れがあった曲ではなかった。

むしろ何がいいのかわからず、プレイリストでこの曲の順になるとスキップしてしまうほどの扱いだった。

それでも今こうして振りかえっていると、なぜか頭に流れてくるメロディーがある。

逆に当時よりよく聴いていたはずの前後の曲はまったく思い出す事が出来ない。

これもまた何だか不思議なものだと思う。

Everyday

I used to be the kind of guy
Who'd never let you look inside
I'd smile when I was crying
I had nothing but a life to loose
Thought I had a lot to prove
In my life there's no denying

アバウト・ア・ボーイという映画をご存じだろうか。

イギリス映画だったと思うが、少年と青年の孤独と交流を描いた名作だと思っている。

その劇中歌のひとつとして登場したのがボンジョヴィのこの曲だった。

僕はこの映画が好きで、きっかけは英会話の授業で取り上げられたことだったが、その後自分でもDVDを借りて繰り返し観ていた。

この映画の挿入歌は暗い曲やのんびりした曲が多く、その中でひとつだけやや場違いな印象も受けるこの曲を僕はなぜか気に入り、自分でも歌ったりしつつ何度も繰り返し聴いていた。

大学に入ってから高校の文化祭に遊びに行ったとき、真面目でおとなしい印象だった英語の先生がこの曲を熱唱していた(そしてすごく上手だった)こともまた印象的だった。

I Was Born To Love You

I was born to love you
With every single beat of my heart
Yes, I was born to take care of you
Every single day...

これもまた、TVドラマの主題歌として脚光を浴びることになったQUEENの代表曲。

よく覚えていないが、おそらく僕もドラマを見て後にこの曲を聴くようになったのだと思う。

氷の上で抱き合うシルエットが何とも大人な雰囲気を醸し、大人になるのも悪いことではないのかも、と淡く思ったような気がする。

当時僕は、20よりも先の人生というものに何の進展性も希望も見いだせていなかったので、そういう意味ではここまで僕が生き続けてこれたのはこうした些細な大人への憧れのようなものの累積のおかげなのかもしれない。

そう思うと、木村拓哉と竹内裕子には感謝してもしきれない恩があるということになる。

大学に入った僕は、多くの才能あふれる若者に出会い、だんだんと生きる希望を抱くことができるようになっていった。

世界の広がりは、ちっぽけな自分から目を逸らすことを許してくれたし、何より輝いているものを見ることは純粋に楽しかった。

楽しくなければ生きていても意味はない―などと言うと、真面目な人には眉をひそめられてしまいそうだが、僕は基本的にそういう考え方をとっている。

だから中高時代はいつも何のために生きているんだろうとぼんやり考えていて、なんだか何かできそうな気はするけれどどうせ何もできないかもしれないし、そうなったら一刻も早く消えてしまった方が楽でいいなあ、などと思っていた。

その延長線で考えると、高校までの状況がその後も続いていれば木村拓哉や竹内裕子の奮闘むなしく僕は命を絶っていたかもしれず(おそらく勇気が足りずに断念していただろうが)、大学で出会った友人や先輩方には本当の意味で、感謝してもしきれない。

話が脱線してしまったが、この曲と再会したのは、とある年下の友人がこの曲が大好きだったことがきっかけだった。

音楽を志す平成生まれの彼女はこの曲に出会って魂が揺さぶられたといった趣旨のことを言い、そのことばを聞いた僕もまた、魂を揺さぶられるほどの衝撃を受けた。

それまで僕は、この曲のリズムや勢いの良さ、メロディーラインの力強さは素晴らしいと思いつつ、歌詞については安直で陳腐なものとしか認識していなかった。

同じことばを聞いても、受け取る相手の性質によってこんなにも意味合いや位置づけが異なってしまうというのは、衝撃以外の何物でもなかった。

このことはまた、自分の斜に構えた態度を反省する契機ともなった。

そのとき僕は、ことばをそのまま自然な意味のとおりに受け取り、発することはとても素晴らしいことなのかもしれない、と思ったのだった。

Top Of The World

Such a feelin's comin' over me
There is wonder in most every thing I see
Not a cloud in the sky, got the sun in my eyes
And I won't be surprised if it's a dream

カーペンターズの代表曲。

以前から聴いていたように思うが、TVドラマの主題歌になって後によく聴くようになった。

司法修習所で法律の勉強に励む5人ほどの男女が織りなす旋律が丁寧に描写され、とてもよいドラマだった。

思い返してみると、僕の心に一番影響を及ぼしたドラマだったかもしれない。

堤真一演じる官僚出身の男が牛丼を手に教室に戻ってくるシーンは今でも記憶に鮮明だ。

別にこのドラマに触発された、というわけではないのだが、僕はやがて司法修習を経て法律家へと続く道を一旦は志し、そして挫折を経験することになる。

浮き沈みの激しかった大学時代、僕は楽しくて楽しくて仕方がない、という気分のときはいつもこの曲を頭に思い描いていた。

カレンの美しい歌声が、僕を本当に世界一の幸せ者であるかのような気持ちにさせてくれたのだった。

後楽園を背に、鼻歌交じりに自転車で駆け抜けたことを鮮明に覚えている。

どうも、僕は記憶の仕方が人と少し違うような気がしている。

鮮明に覚えていることとまったく覚えていないことの差が激しいというのもそのひとつ。

牛丼しても自転車にしても、ごくごく些細な何の変哲もないひとこまなのだが、なぜか記憶に焼き付いていて離れない。

おそらく一生忘れないのではないかと思う。